2015年08月21日

地球のひずみ

地球のひずみ

 まるで子犬の顔のような形の相似台風15,16号は、日本に
近づくにつれ15号が崩れ始め、恐ろしい形相に変化してきた。
気象庁も米軍の予報も急反転し、石垣島を直撃する進路になっている。
(最近は時系列、コースも両者申し合わせるようにほぼ同じである。)

地球のひずみ

この急反転で思い出したのが、長江(揚子江)の急反転である。
チベットを南下した源流の金沙江は、麗江手前で急に北に向かい、
急速な流れで蛇行しながら、東の四川盆地から華北平原を潤す。
この急反転は地理学上の謎とされ、人為的なものであると言われてきた。

地球のひずみ


冷戦を経て公開された地図情報を紐解くと、長江第一湾と呼ばれる湾曲は
地図上では東の麗江の土地利用は農地で、自然に堆積したように見える。
実際はその高低差が500m近くあり、古第三期の造山運動により生まれた
複雑な地層が、金沙江により浸食された地形であることがわかる。


地球のひずみ
           (詳細)


 小学校の宿題で地球儀を工作している時、忘れられない地形があった。
ヒマラヤ山脈の東側にある、大陸を両手で寄せたような山脈だった。
地球儀の紙の張り合わせを、ここに集中させてごまかした記憶がある。
それはチベット南東部の横断山脈という名で、世界でも最も険しい谷が
南北方向に並行している地形であることを後から知った。

地球のひずみ


 三江併流と呼ばれるこの地域は、怒江(サルウェン川)、瀾滄江(メコン川)、金沙江(長江)が、約100kmの幅に並ぶアジアの大河の源流域である。隣のミャンマー国境を超えると、イラワジ川の源流になる。この地形はチベット高原の流域が一旦集まり、再びアジアの広大な平原に広がり潤す漏斗のような形になっている。北は上海から南はミャンマーのアンダマン海に至る、広大な流域である。同時に、世界自然遺産のこの地域は、ユーラシア大陸の自然環境を左右する重要な地域でもある。

地球のひずみ

 地球環境の変化は、海水・地表水の流れから大気循環に至るシステムを、気象学、海洋学、水理学、生物学などの分野で地球温暖化が語られてきたが、東日本大震災以降、頻繁に繰り返される地震火山活動との因果関係を調べていくと、地球物理学の視点が必要になってくる。
地震の発生地点の分布は環太平洋に集中しているが、現在最も活動的な地域は日本近海で、北米プレートが太平洋プレートに潜り込む沈み込み型のプレートテクトニクス理論で説明される。その対極にあるのが衝突型で、ユーラシアプレートにインドプレートがぶつかる地域が、四川大地震や先のネパール大地震を引き起こしている。日本海溝の海の地形に呼応するように、4600万年前の造山運動により造られた爪痕がこの横断山脈である。

地球のひずみ

この地域に住む人々は、谷底の集落と2000mもの高低差のある山を、横断するために建設された道路の切土を農地に利用しながら、45°もの斜面にも住宅を建設している。人口集中地域がないこと以外は日本と同じ災害リスクを抱える地域で、特に水害と地震は大きな危険をはらみ、今後の発展の不安定要因に挙げられる。

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 物理的な地球のひずみの監視は必要である一方で、目に見えない地球の地軸の偏心が懸念されている。北磁極が北西へ移動、南磁極が南東に移動しているとNOAA(米国大気局)が発表したものだが、地磁気そのものが100年で6%減少したという報告もあり、今後も総合的な研究解析が地球環境問題のカギを握っている。

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Posted by Katzu at 21:17│Comments(0)大震災
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