2016年01月11日

雪国で見る虹

雪国で見る虹

正月に虹を見たという記憶がない。
虹の条件は雨と太陽だから、厳冬期の雪国では望むすべもない。
時雨虹(しぐれにじ)というのは俳句の季語になっているように、
晩秋に見られる虹を指すが、北国では12月の雨は氷雨となり、
曇天の下ではやがてみぞれに変わる。
雨が夜更け過ぎに雪へと変わるクリスマスイブも、
卒業間近のなごり雪も都会の話とばかり思っていたが、
近年は地球温暖化の影響で雪国にも当てはまるようになった。

雪国で見る虹

今年の山形の正月は13年ぶりに雪がなかった。
平均気温は23年ぶりに5℃を超えた。
庭に咲く食用菊の『もってのほか』は晩秋に収穫するが、
正月を過ぎてもまだ咲いていた。

雪国で見る虹


暖かいというのは嬉しくても、雪がないと年を越した気がしない。
雨のぱらつく元旦も白々と過ぎ、2日に山の神に初詣でする。
すすきの川原の向こうに、神社のある山頂にかけて虹が掛かっていた。

雪国で見る虹


昔スキー場だった道路わきの参道からトレイルランナーが駆けてきた。
山の神社は昔のまま静かで、奥の孝道院はよく見ると比叡山系で、
山の中の五色仏旗はチベット仏教を思い出した。
幼児期に遊び親しんだスキー場は、地球温暖化を待つまでもなく、
いつの間にかなくなり周囲は宗教の山になった。

雪国で見る虹


山頂まで新年詣出にくる参拝客は、健康な年配者ばかりで
日々の散歩に訪れているのだろう。

雪国で見る虹

古峯神社から眺めると、街の発展が良く見える。
バイパスが通ってからは山での騒音が気になるようになった。

雪国で見る虹

雨と晴れ間が繰り返され、街の中からまた虹が立ち上がった。
中世の日本では、虹の立つところに市が立つ習わしがあった。
世界各地では、虹は蛇に例えられることが多い。
中国では虹は、龍が現れる不吉の証しとされ、
虹が虫へんであるのは、蛇の一種であるためとされる。

雪国で見る虹

ハワイではダブルレインボーは幸福の証しとされるが、
さらに雨の多い南洋のパラオでは虹は日常的に見られ、
何度もその神々しさに手を合わせたくなった。
雨がようやく東から島を通り過ぎ、南からの太陽を背に受け、
北に立ち上がる虹を見ると、自然に感謝したい気持ちになる。


雪国で見る虹

故郷のアベマキの山道を散歩するとよくリスが現れた。
木にビスケットがあるところを見ると今も生息しているのだろう。
アベマキはドングリの一種で東南アジアから東アジア全般に
広がっているが、山形県が最北端の地域とされる。
開発や温暖化の影響の中で残された、この貴重な森を認識している市民はどれだけいるのだろう。

雪国で見る虹

昭和40年代、山を削りバイパスを市街地近くに通したことにより、
故郷の里山景観は失われ、街は渋滞し道路システムも変わった。

雪国で見る虹

今思えば、トンネルにするかルートを西に変えればよかったはずだが、
現在も地方計画の進め方は、旧建設省時代から何も変わっていない。
当時計画に異を唱えたのは、トンネルルート上のぶどう畑農家と
現ルートに変更されてからは少数の自然保護団体だけだった。

雪国で見る虹


雨の山を降りると晴れ上がり、トンネルルート上の当時の
ぶどう畑付近からは、うっすらと、また虹が立ち上がっていた。

気象の振幅が大きくなると、虹が出る機会も増えると考えられるが、
虹の出る証しは吉か凶か、どちらに傾くのだろう。

雪国で見る虹


タグ :里山の環境

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