2011年11月13日

都市計画住民支援システム

 外国から帰って驚いたことがある。
役所の手続き、資料などのサービスが、ネットで行えるものが増えたことである。
民間ではとうの昔からやっているので、無駄な人件費の削減になるだろう。
特に、都市計画関連では、都市計画図などの閲覧サービスなどもあり、
見る人が見れば、わざわざ出かける必要もなくなった。
このシステムは専用のGISソフトを用い、利用者は簡単にダウンロードできるが、
委託業者により作られているものがほとんどである。
ただし、このシステムを計画方面に利用しなければ、絵を見せるためだけに、
多大な出資を行ったことになってしまう。

都市計画住民支援システム

 現在このサービスがある市町村は、ネットで検索すると、大阪府、神奈川県、
兵庫県、熊本県、横浜市、岐阜市、市原市、西宮市、那覇市などである。
実際はかなり普及しているだろう。

 住民の多くは、自分の住む場所の都市計画用途地域を知らない。
この種のシステム導入が進まず、進んでも利用拡大に至らない理由は、
日本人の緻密さといいかげんさとのギャップである。

理由1
都市計画の変更は、法的には案の公告、2週間の縦覧、
意見の聴取だけで進行する。
無関心な住民が多い場合、官主導で粛々と事業は進む。
関心が高まった後の住民の総意集約、住民運動は後出しとみなされる。

理由2
高価な専用のGISシステムの導入は、安全面から必要であるが、
どの公共団体も似た業者のものを使っている。
アウトプットは一般のものと変わらない。
むしろ遅く使いづらい。

理由3
都市計画の窓口業務は、住民が、「教えて下さい、都計図を売って下さい、
許可してください。」という長年の官民の立場が続いているため、
情報公開的な急展開に対応できていない。

 大震災後の対応では、指導力、情報公開、コンプライアンスなどの点で、
官庁と準国営企業に批判が集中するのは当然であろう。

しかし、大切なことをを他人任せにしたいいかげんな、
でも緻密な我々日本人って一体何なのだろう。



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