2015年12月16日

人の歩ける街づくり

人の歩ける街づくり

 COP21は各国が予想外のまとまりを見せ、世界196カ国の国・地域
すべてがCO2削減を約束するパリ協定が採択され終了した。
2大国が初めて数値目標を提出し、発展途上国からは資金援助を、
欧州からは削減目標が手温いと批判された日本は、再生エネルギー
技術を活かした提案もできず、一人宙に浮いた感があった。

日本製の中古車が世界中にあふれ温暖化の原因を作った国として
批判が集中しなかっただけ、まだよかったのかもしれない。
CO2削減の環境教育や環境技術の開発が活かされない背景には、
それを後押しする政策や補助事業がないだけではなかった。


人の歩ける街づくり

地方の商店街を歩くと、人通りがない寂しい光景を目の当たりにする。

商店街を再生する方法を尋ねられると、多くの街づくり屋は、
〇 土地の魅力
〇 人の繋がり
〇 歴史の繋がり
 をキーポイントにあげるだろう。

具対策となると
〇 街おこしイベント
〇 食材・名産の掘り起こし
〇 街づくりコミュニティの活動
 を活動計画にあげるだろう。

経営コンサルタント的にマネージメントし一時的に成功しても、
どの街おこしでも、人材育成と事業の継続性という課題に行きつく。

一方、街づくりのハード系の見直し設計を行っても、
同じく補助金からみの事業の継続性のなさが課題となる。

人の歩ける街づくり


いつから、人は街を歩かなくなったのだろう。
車の利便性の向上や大型店の進出だけでなく、
世代交代により人の動きが郊外に移動したためでもある。

道路を設計する者が、歩ける街を目指さなかったことにも原因がある。
道路の予算は物流主体の車の交通量で決まる。
その結果、市街地の道路は狭い歩道、狭い路肩となり、
郊外バイパスは広い歩道、広い植樹帯という本末転倒の姿となった。

人の歩ける街づくり


歩道はマウンドアップかフラットかという論争があった。
結局、人は上とする考えでマウンドアップを標準とする結論に至ったが、
現在市街地では経済性に優れたフラットが採用されるケースが目立つ。
そのため歩行者が車の跳ね水を受けるケースが増えた。

人の歩ける街づくり


バブル期以降、景観に配慮した道路づくりが求められようになり、
車道にも自然石舗装にし石畳歩道と一体化した道路も造られた。
この結果、視覚的に歩車道の区分が見にくく、高齢者の逆走も起きる。

人の歩ける街づくり


スツールや花壇で明るく歩道を着飾ることは大切であるが、
美しく人の集まる街並みをつくるにも限界がある。
空き地裏の民家を改造したような店舗から児童が出てきた。

人の歩ける街づくり
          

画一的な商店街を目指してきても、ここにヒントが隠されている。
古く変わった物に興味を持つ感覚は大人子供も一緒である。


これからは車の為の行政施策でなく、街の道路は
運転手を含めた人の交通量で推し量るべきだろう。

人の歩ける街づくり

広域道路の歩道を行くのは、一人目立ち気が引けてしまう。
これと同じで歩行者のいない街の商店街も、人が目立ち
歩きにくい雰囲気がなおさら客を遠ざける。
街の中では歩行者が車の運転手を識別できるような関係が望ましい。

車社会が発達した結果の交通弱者に対するシワ寄せは、
現代日本の格差社会がかかえる病巣でもある。


人の歩ける街づくり
         
土地利用が誘導されない駅前の芝生広場では、
歩行者は歩道などは歩かず人の道が出来ていた。
市内の歩行者ネットワーク調査と計画を行っても、
車のように人を誘導させることは難しい。

人の歩ける街づくり
         

田舎の街には、幽霊小路とか小便道とか呼ばれる通路が残っている。
防犯・防災・宅地開発の点から望ましくないとされてきたが、
今では唯一残された都市の歩行空間でもある。

人の歩ける街づくり
         

 健康な生活を送るには、朝食の摂取カロリー相当分を
運動カロリーで消費させるくらいの運動が必要と言われる。
1日1万歩と言われるが、7kmの歩行、5kmの軽ジョギング、
20kmのサイクリング、1kmのスイムのいずれかになるが、
通勤・買物目的に限定しただけで、冒頭のCOP21の主旨に戻る。

人の歩ける街づくり



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